2025-2030年版「アメリカ人のための食事ガイドライン」で示された指針を日本人向けに読み解く

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2025-2030年版「アメリカ人のための食事ガイドライン」で示された指針を日本人向けに読み解く

新時代の「アメリカ人のための食事ガイドライン」

2026年1月8日、米国の食生活の基準となる「Dietary Guidelines For Americans(アメリカ人のための食事ガイドライン)」が発表されました。

https://cdn.realfood.gov/DGA.pdf

ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏やブルック・ロリンズ氏らの新体制によって発表された、今回の2025-2030年版ガイドライン。

資料冒頭から「我が国の歴史上、連邦栄養政策の最も重要なリセット」であると宣言されており、過去数十年間の政策や「標準的な米国の食生活」からの劇的な転換を目指しています。

These Guidelines mark the most significant reset of federal nutrition policy in our nation’s history.

https://cdn.realfood.gov/DGA.pdf

米国は現在、約1億7,000万ドル(約250億円以上)の予算を投じ、史上最大規模の精密栄養学研究「Nutrition for Precision Health」を進めています。

そんな米国の示す食事ガイドラインを把握しておくことは、私たち日本人にとっても、決して無駄にはならないでしょう。

しかし文字通り「For Americans(アメリカ人のための)」とあることもあり、私たち日本人にとっては一部そのままでは参考にならない、すべきでない内容も含まれていると感じました。

今回の記事では、私の精密栄養学に関する知見を踏まえて、この「Dietary Guidelines For Americans(アメリカ人のための食事ガイドライン)」を日本人向けに読み解きながら解説していきます。

ポイントとなるキーワード「Eat Real Food」

今回のガイドラインの大きな特徴は、「万人に共通するカロリーや栄養の目安量」などではなく「食品の質」を重視する方針への転換です。

ポイントとなるのは、資料冒頭で示されている以下のキーワード。

The message is simple: eat real food.
メッセージはシンプル。本物の食べ物を食べましょう。

https://cdn.realfood.gov/DGA.pdf

資料では「過去の政策やインセンティブが、低品質な「高加工食品」を推進し、結果として現在の慢性疾患の蔓延を招いた」と指摘しています。

この背景を踏まえて、なるべく自然なままの食べ物 "Real Food" を食べる、ということを大きく強調しています。

このガイドライン発表とともに、米国政府は新たに realfood.gov という Web サイトまで立ち上げています。

Eat Real Food

米国政府自らが、率先して「本物の食べ物」を推奨し主導する、というこの動きは、過去に例を見ない大きな変革、指針の提示といえるでしょう。

示された8つの指針

まずはガイドラインで示された8つの指針を紹介します。
しかし、ただ日本語に翻訳・要約するなどは今では AI にできることですので、本記事では指針のフレーズを列挙するにとどめます。

原文をそのまま読みたい、または日本語に翻訳・要約したい方は以下の資料を参考になさってください。

https://cdn.realfood.gov/DGA.pdf

ガイドラインで示された8つの指針は以下のとおりです。

  1. 自分に合った量を食べる / Eat the Right Amount for You
  2. すべての食事でタンパク質食品を優先する / Prioritize Protein Foods at Every Meal
  3. 乳製品を摂る / Consume Dairy
  4. 一日を通して野菜と果物を食べる / Eat Vegetables & Fruits Throughout the Day
  5. 健康的な脂肪を摂取する / Incorporate Healthy Fats
  6. 全粒穀物に注目する / Focus on Whole Grains
  7. 高加工食品や添加糖、精製された炭水化物を制限する / Limit Highly Processed Foods, Added Sugars, & Refined Carbohydrates
  8. アルコール飲料を制限する / Limit Alcoholic Beverages

そしてこれらの指針を、私の精密栄養学の知見を踏まえつつ、日本人向けに読み解いていきます。

原文が「アメリカ人のための(For Americans)」とあることから、可能な限り「日本人のための、日本人万人に共通するガイドライン」となるような同じ思想で解説していきます。

まずこのうち2つの指針については、日本人にはそもそも推奨できないと考えましたので、その2つから解説します。

「乳製品を摂る」は日本人には推奨できない

指針3つ目「乳製品を摂る / Consume Dairy」では、「無糖の全脂肪乳製品(full-fat dairy with no added sugars)」が推奨され、これらはタンパク質、健康的な脂質、ビタミン、ミネラルの優れた供給源としています。

無糖の全脂肪乳製品とは、成分無調整の牛乳、生乳100%のヨーグルト、バター、ナチュラルチーズなどです。

ただ、日本人を含む東アジア民族では、成人の約80%が乳糖不耐症とされていることから、この「乳製品を摂る」の指針については日本人向けには推奨できないものと私は考えています。

乳糖や乳糖による不調・疾患についてより詳しく知りたい方は、私が過去にまとめた以下の記事をぜひ参考にしてください。

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「全粒穀物に注目する」も日本人には要注意

指針6つ目「全粒穀物に注目する / Focus on Whole Grains」では、「食物繊維が豊富な全粒穀物(fiber-rich whole grains)」を優先して摂取することが推奨されています。

しかし、遺伝的背景、米中心の食生活などの背景から、日本人はグルテンによる不調に注意が必要と指摘がされていることから、この「全粒穀物に注目する」についても日本人向けには推奨できないものと私は考えています。

※ 明確な科学的根拠が示されていませんが、この背景には検査などでの明確な判断が難しい「ノンセリアック・グルテン過敏症」や「グルテン不耐症」が日本人に多いと可能性が指摘されている点が理由だと私は考えています。

「グルテン」とは、小麦や、ライ麦などに含まれるタンパク質の一種であり、たとえ指針にもある食物繊維が豊富な「全粒穀物」であっても、この「グルテン」が含まれることには変わりないためです。

グルテンやグルテンによる不調・疾患についてより詳しく知りたい方は、私が過去にまとめた以下の記事をぜひ参考にしてください。

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その他の指針を日本人向けに読み解く

ということで、日本人向けの指針として、以下の6つがそのまま推奨できるものと考えました。

  1. 自分に合った量を食べる
  2. すべての食事でタンパク質食品を優先する
  3. 一日を通して野菜と果物を食べる
  4. 健康的な脂肪を摂取する
  5. 高加工食品や添加糖、精製された炭水化物を制限する
  6. アルコール飲料を制限する

原文ではアメリカ特有の食品例が例示されるなど、日本でそのまま参考にできない部分もあるため、日本の食環境を踏まえながら解説していきます。

(かなり長文ですので、上記の6つの指針だけでもキャッチアップしたり、気になる指針についてのみピックアップすることもおすすめします。)

注:摂取量の目安について

ガイドラインでは、摂取量の目安について「カロリーレベルパターン」に合わせた「サービング(serving)」というやや分かりにくい単位が使用されていますが、この詳細については以下の資料で説明されています。

Daily Servings By Calorie Level

まずは以下のページからご自身の身体に合わせた「カロリーレベルパターン」を割り出し、その「カロリーレベルパターン」に基づいて上記の資料から摂取目安量を割り出すことができます。

DRI Calculator for Healthcare Professionals | National Agricultural Library

1. 自分に合った量を食べる

1つ目の指針から「必要なカロリー数は、年齢、性別、身長、体重、および身体活動レベルによって異なる」として、いわゆる「万人に共通する摂取目安量」として明確な数値などを明示していません。

まさに「各人によって最適な食事や栄養アプローチは異なる」という精密栄養学の研究を進める現在の米国らしい指針の提示といえます。

また水分補給が全体的な健康の重要な要素である(Hydration is a key factor in overall health)とし、その摂取源としては飲料水や炭酸水、無糖飲料を推奨しています。

水分補給についてより詳しく知りたい方は、私が過去にまとめた以下の記事をぜひ参考にしてください。

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2. すべての食事でタンパク質食品を優先する

健康的な食生活の一部として、高品質で栄養価の高いタンパク質食品を優先することを推奨し、以下のような食品が例として挙げられています。

  • 動物性タンパク食品
    • 卵、家禽(※)、魚介類、赤身肉など
  • 植物性タンパク食品
    • 豆類(大豆、黒豆、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆など)、ナッツ類、種子類など

「家禽(かきん・poultry)」という見慣れない表現があり、これは鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウなどを指しますが、日本では鶏肉と考えていいでしょう

注目すべきは、成人1日あたりのタンパク質の摂取目安について、明確な数値として 体重1kgあたり1.2〜1.6g と提示されたこと。
(厳密には各人のカロリー必要量に応じて調整としています。)

過去のガイドラインでは、体重1kgあたり 0.8kg としていましたので、最大値の 1.6g で考えれば従来の2倍、というかなり大幅な増量がされています。

これは、高加工食品中心の現代の食生活によって、世界的に炭水化物の摂取量が増え、タンパク質の摂取量が減っていることを踏まえての指針の提示と考えられます。

食事への取り入れ方については、そのまま日本人にも推奨できるでしょう。

  • 調理法
    • 揚げる調理は避けて、焼く、炙る、ローストなどの調理を推奨
  • 味付け
    • 砂糖、精製された炭水化物、デンプン、化学添加物を加えていない、または最小限の味付けに抑え、塩、スパイス、ハーブの味付けを推奨

3. 一日を通して野菜と果物を食べる

こちらはそのままの内容で日本人にも推奨できます。

栄養価が高く色鮮やかで種類豊富な野菜や果物を、生で食べる場合も調理する場合も、なるべくそのままの状態で食べることを推奨しています。

冷凍、乾燥、缶詰などに加工された野菜や果物については、砂糖無添加、または極めて少ないものであれば良い選択肢、としています。

摂取目安として、標準的な 2,000kcal の食事パターンにおいて、野菜は1日3サービング、果物は1日2サービングを目安とし、塩、スパイス、ハーブなど最小限の味付けを推奨しています。

また、たとえ100%であっても果物や野菜ジュースについては、少量ずつ飲むか、水で薄めて飲むよう推奨しています。

4. 健康的な脂肪を摂取する

こちらもそのままの内容で日本人にも推奨できます。

可能な限りそのままの食材(ホールフード)を中心とする脂質の摂取が推奨され、食品例として、肉、家禽(※1)、卵、オメガ3豊富な魚介類、ナッツ、種子類、全脂肪乳製品(※2)、オリーブ、アボカドが挙げられています。

※1 こちらもタンパク質の場合と同様に日本では鶏肉と考えていいでしょう
※2 こちらも乳製品なので人によっては摂取に注意が必要です

その他の点もそのまま日本人にも推奨できる内容です。

  • 食用油の選択肢
    • オリーブオイルなどの必須脂肪酸を含む油を優先
    • その他の選択肢として飽和脂肪酸の「バター」や「牛脂」
  • 飽和脂肪酸の摂取量
    • 総カロリーの10%以下を目安
    • 高加工食品の摂取を抑えれば達成可能とのこと

5. 高加工食品や添加糖、精製された炭水化物を制限する

このセクションは、8つの指針のなかで最も文字数を取って説明されていることから、米国が強く問題視していることが伺えます。

こちらもそのまま日本人に推奨できるうえ、私からも最も推奨したい指針だと思いました。

文量が多いため、「高加工食品や添加糖」と「精製された炭水化物」に分けて見ていきます。

高加工食品や添加糖

砂糖や塩分などを含む高加工食品(ポテトチップス、クッキー、キャンディなどのパッケージ食品や調理済み食品、インスタント食品など)を「避ける / avoid」ことを推奨しています。

また、これらに変わる選択肢として、栄養価の高い食品や家庭で調理された食品を優先し、外食においても栄養価の高い食品を選ぶべきとしています。

食品添加物に関しても言及があり、人工香料、石油系着色料、人工保存料のほか、低カロリーで栄養のない甘味料を含む食品や飲料を「制限する / limit」ことを推奨しています。

そして単にこれらの人工添加物でなければいい、とはしていません。
その後に「砂糖」についての言及が次に続きます。

飲料については、炭酸飲料やフルーツ、エナジードリンクなどの砂糖が含まれる飲料を減らすのではなく「避ける / avoid」ことを推奨しています。

食品については、添加糖や栄養のない甘味料が、健康的で栄養価の高い食事が前提のうえで「全く含まれない / no amount」ことを推奨し、もし含まれる場合も、添加糖についてのみを1食あたり 10g 以下 にすべき、としています。

つまり人工甘味料については全く摂取しないよう推奨しています。

この内容からは「人工甘味料なら糖分が抑えられる」や、一方で「人工甘味料ではなく、自然な砂糖はいくら摂取しても良い」といった、さまざまな「甘み」に関する考え方を否定しています。

そのうえ、「添加糖のみを1食あたり 10g 以下」という具体的かつ厳格な数値目標を示しており、アメリカ政府からの重要な指針の提示だと分かります。

「超加工食品」「添加糖」についてより詳しく知りたい方は、私が過去にまとめた以下の記事をぜひ参考にしてください。

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精製された炭水化物

(「精製された炭水化物」の制限については、日本人向けに省いた「全粒穀物に注目する / Focus on Whole Grains」の中で詳細が言及され、この指針では説明が省略されているため、こちらから引用します。)

白パン、シリアルなどの調理済み・パッケージ化された朝食向け食品、小麦粉のトルティーヤ、クラッカーといった、高度に加工された精製炭水化物の摂取を「大幅に減らす / significantly reduce」よう推奨しています。

ここはアメリカ特有の食品例が多いので、日本に置き換えれば以下のような食品が挙げられるでしょう。

  • 菓子パン・惣菜パン
    • 精製された小麦粉、大量の砂糖、植物油脂が組み合わさった、日本における代表的な「高度に加工された精製炭水化物」
  • カップ麺・インスタントラーメン
    • 精製された小麦の麺にその他の調味料、添加物などを添加してパッケージ化された「高度に加工された精製炭水化物」
  • 白米
    • 白米だけでも「精製された炭水化物」
    • さらにコンビニ弁当などの白米で、保存性を高める添加物なども添加されたものは「高度に加工された精製炭水化物」
  • スナック菓子・せんべい
    • 精製された米粉や小麦粉を主原料とし、砂糖や食塩、調味料などが添加された「高度に加工された精製炭水化物」
  • ホットケーキ・パンケーキミックス
    • 精製小麦に膨張剤や香料、砂糖などが添加された「高度に加工された精製炭水化物」
  • シリアル・グラノーラ
    • 健康的なイメージがあるものの、実際には精製された穀物やコーンに、砂糖や甘味料などを添加してパッケージ化された朝食向け「高度に加工された精製炭水化物」

あなたもいくつもの食品を日常的に摂取しているのではないでしょうか?

日本の食環境においても広く普及するこれらの食品たちが、アメリカが摂取を大幅に減らすべきとした「高度に加工された精製炭水化物」なのです。

6. アルコール飲料を制限する

こちらもそのまま日本人にも推奨できる内容です。

健康のためにアルコールの摂取量を減らすことは推奨したうえ、以下に該当する人については、アルコールを「完全に避ける / completely avoid」べきであるとしています。

  • 妊婦
  • アルコール使用障害から回復中の方
  • 飲酒量をコントロールできない方
  • アルコールとの相互作用が懸念される薬を服用中の方
  • 持病のある方

「アルコール使用障害 / Alcohol Use Disorder」というやや見慣れない表現がありますが、これはいわゆる「アルコール依存症」も含んだ、軽度から重度までをカバーする広範な症状や疾患を指しています。

依存症と診断されない軽度な状態であっても、完全に避けるべきであるということです。

また、家族の中にアルコール依存症(アルコール使用障害)を経験、あるいは現在罹患している人がいる場合、飲酒やそれに伴う依存行動に注意するように、と促しています。

まとめ

アメリカの新たな食事ガイドラインは、従来の「万人に共通するカロリーや栄養の目安量を満たせばいい」という考え方ではなく、「年齢、性別、身長、体重、および身体活動レベルによって異なる」としています。

この「各人によって最適な食事や栄養アプローチは異なる」という考え方こそ、まさにアメリカも研究を進めている精密栄養学(Precision Nutrition)の考え方であり、かつ今後の世界標準となっていくことを示唆しています。

私たちの遺伝子や腸内細菌叢、代謝や現在の栄養状態、生活習慣などから「自分だけに最適化された栄養アプローチ」が導かれる時代がもうすぐそこに迫っているのです。

そんな時代においても、今回示された「Eat Real Food(本物の食べ物を食べよう)」というキーワードは、健康的な日々を生きるうえで重要かつ基礎的な指針として大きく変わらないでしょう。

重要なのは、この「Eat Real Food(本物の食べ物を食べよう)」の実践は今からでも実行することができる、ということ。

まずは次の食事から。
この小さくとも大きな日々の改善の積み重ねが、数年後のあなたの健康を確実に変えていくはずです。

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