乳糖(ラクトース)とは? 健康への影響とその向き合い方
牛乳やチーズ、ヨーグルトといった乳製品。
"健康のために" と摂取しているつもりが、「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」「ヨーグルトでお腹が張る」といった経験はないでしょうか?
それはもしかすると「乳糖(ラクトース)」が原因かもしれません。
本記事では、乳糖とは何か、体質や遺伝との関係、どんな不調を引き起こすのか、日本人が注意すべき理由、そして乳糖と上手に付き合う方法をご紹介します。
1. 概要と基本情報
乳糖(lactose)は、母乳や牛乳に多く含まれる二糖類で、ガラクトースとグルコースという糖が結びついてできています。
牛乳の甘さをイメージすると分かりやすいと思いますが、砂糖のような強い甘さではなく、優しい甘みが特徴です。
- グルコース(Glucose):脳や筋肉の主要なエネルギー源となる単糖類
- ガラクトース(Galactose):体内でグルコースまで変換される単糖類

消化には、小腸上皮で働くラクターゼ(乳糖分解酵素)が必要で、これが不足すると乳糖を消化できず、大腸での発酵を経てさまざまな症状を引き起こします。
2. 体質・遺伝的背景
乳糖を体内で分解するには、ラクターゼ(lactase)という酵素が必要ですが、このラクターゼの活性(分解能力)には大きな個人差があります。
2-1. ラクターゼ持続型(乳糖を消化できる体質)
成長後もラクターゼ活性が持続するタイプで、欧米など古くから酪農文化のある地域圏で多いとされている体質です。
2-2. ラクターゼ非持続型(乳糖を消化できない・しにくい体質)
- 先天性乳糖不耐症
- 出生時からラクターゼがほぼない極めてまれな体質
- 乳児の段階で母乳やミルクを原因として不調を引き起こす可能性があります
- 新生児乳糖不耐症
- 出生直後または胎児期に関連してラクターゼ量が不十分な体質
- 一次性乳糖不耐症(成人型ラクターゼ非持続型)
- 成人になる過程で腸内のラクターゼ活性が低下する体質
- 日本人を含むアジア圏で特に多いとされています
- 二次性乳糖不耐症
- 腸の病気や炎症等によってラクターゼが減少しているケースが分類されます。本来活性がある体質であれば改善可能とされています。
3. 引き起こされる不調
乳糖をうまく分解できないと、大腸に送られて、腸内細菌による発酵や浸透圧の変化によって、以下のような症状を生じることがあります。
- 消化器症状
- 腹部膨満感(お腹の張り)
- おならが増える、げっぷ・ガスが多い
- 腹痛・けいれん
- 下痢
- 体への負担・二次的影響
- 慢性的な下痢が栄養吸収を妨げる(疲れやすさ、鉄不足)
- 腸内細菌バランスの乱れ

また慢性的にこれらの状態が続くと、以下に挙げるさまざまな腸疾患の原因になったり、症状が悪化することがあります。
3-1. 過敏性腸症候群(IBS)
乳糖不耐症の人が乳糖を摂取すると、消化不良によってガスや下痢が頻発します。これが長期間続くと腸が刺激に敏感になり、腹痛や便通異常を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)と呼ばれる疾患を引き起こすきっかけになることがあります。
乳糖不耐症による症状が「一時的な下痢」ではなく「慢性的な腸の便通異常」になっている場合は特に注意が必要です。
3-2. 小腸内細菌異常増殖症(SIBO)
通常、小腸には大腸ほど多くの細菌は存在しませんが、乳糖が消化されずに小腸内に残る状態が続くと、そこで細菌が繁殖しやすくなります。これによって、本来よりも小腸内で腸内細菌が異常増殖した小腸内細菌異常増殖症(SIBO)となる場合があります。
SIBOになると、少量の食事でも腸内細菌が消化時に発生させるガスがたまり、腹部膨満感や腹痛が強くなります。乳糖は細菌にとって良い餌になるため、乳糖不耐症の人が続けて乳製品を摂ることで、SIBOの温床となる可能性があります。
3-3. リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)
乳糖が未消化のまま腸に残ると、発酵によってガスや酸が発生し、腸壁を刺激して炎症を引き起こします。これが慢性的に続くと、腸粘膜の細胞同士をつなぐ壁「タイトジャンクション」が緩み、腸のバリア機能が低下します。
その結果、腸のバリア機能が弱まり、未消化の食物や毒素が血中に漏れ出し(まさにこれが "腸漏れ")、慢性炎症や自己免疫反応のきっかけとなることがあります。
乳糖単独で起こることは稀とされていますが、グルテンやアルコールなど他の腸の刺激物と組み合わさることでリスクが高まります。
4. 日本人は特に注意すべき?
日本人を含む東アジア民族では、成人の約80%が「一次性乳糖不耐症(成人型ラクターゼ非持続型)」とされています。
もともと歴史的に乳製品を摂取する習慣がなかったため、乳糖に対する耐性が進化しにくかったと考えられます。
一方、現代では牛乳や乳製品の摂取量が急増しているため、体が慣れていない人にとっては、乳糖が原因と考えられる不調が慢性化しやすい状況にあります。
5. 乳糖(ラクトース)フリー実践
避けるべき食品
牛乳、練乳、ヨーグルト、アイスクリーム、粉ミルク、生クリーム、カフェラテ、ミルク入り菓子やパンなどです。
基本的に「乳製品、または乳製品を含む食品全般」と考えるのが良いと思います。
乳糖が添加された加工食品や調味料に注意!
ここで注意したいのが、乳製品だけが乳糖を含むとは限りません。
かなり見落としやすく厄介なのが加工食品に乳糖が添加されているケース。甘味づけや風味・食感の改良、発酵促進、保存性向上などの効果があるようであらゆる食品に含まれています。
私も粉末の鶏ガラスープの素に入っていて気づかず使っていた、ということがありました。
原材料名の項目に「乳糖」という文字があれば、文字通り乳糖を含む食品ですので注意してください。
代替の選択肢
- ラクトースフリーミルク
- あらかじめラクターゼによって乳糖を分解されたミルクが販売されています。
- 植物性ミルク
- 豆乳、オーツミルク、アーモンドミルク、などが一般的で、「オルタナティブ(代替)ミルク」とも呼ばれています。
- 最近では豆乳だけでなく、オーツミルクを始めとして日本でもスーパーなどで手に入りやすい植物性ミルクの選択肢が増えてきています。
- 低乳糖チーズ(完全な除去ではない)
- 熟成期間が長いチーズの場合、熟成中に乳糖が分解されほとんど含まれなくなるため、パルメザンやチェダーなどは比較的乳糖が少ない傾向にあります。(※ 極度の不対象の場合は注意)
- ギー(完全な除去ではない)
- バターの代替品としてはギーがおすすめです。バターから水分と乳固形分がほぼ取り除かれています。(※ 極度の不対象の場合は注意)

効果が見え始める目安期間
1〜2週間のラクトースフリーを実践することで、多くの人が消化器症状の改善を実感できるとされているようです。
また、完全に除去したあとで再び少しずつ乳製品を摂取してみると、不調が出る量や食品などを見極めることが出来るので、自分に合った適度な乳製品の摂取方法・摂取量を把握することもできます。
6. 摂取する際の工夫
完全な乳糖(ラクトース)フリー実践のためには、乳製品を避けつつ、植物性ミルクなどを取り入れることで、負荷を小さく継続することが出来ると思います。
万が一乳糖(ラクトース)を摂取する場合は?
乳糖を分解する酵素であるラクターゼのサプリメントを活用することをおすすめします。
https://jp.iherb.com/c/lactase
乳製品が避けられない場面や、万が一の外食時のサポートとして使うとよいでしょう。
あくまで万が一の "補助的なもの" として考えてください。
※ ただし先天性乳糖不耐症の場合は乳糖の完全除去が必要です。
まとめ
乳糖は心地よい甘みをもたらす一方で、体質によっては健康への悪影響が疑われる成分といってよいでしょう。とくに日本人には非持続型が多いため、知らないうちに不調を引き起こす原因になっていることも。
もし「引き起こされる不調」に挙げた不調に心当たりがある場合には、まずは「2週間乳糖を避ける→体調の変化を確かめる」ことから始めてみてください。

そのうえで自分の体で変化があるかに向き合いながら、自分に合う食品や向き合い方を見つけることが、自分に合ったより良い食生活への第一歩です。
体の声を聞きながら、あなたの体に合った食事を見つけていきましょう!
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