コーヒーは何時までなら睡眠に影響がないのか?〜カフェインの付き合い方を研究結果から考える〜

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コーヒーは何時までなら睡眠に影響がないのか?〜カフェインの付き合い方を研究結果から考える〜

午後にコーヒーを飲んだ日は、なんとなく寝つきが悪い。

コーヒーをたくさん飲むと、喉が乾いている感じがする。

その原因、実は「コーヒーの飲み方」にあるかもしれません。

私にとってコーヒーは、人生の楽しみの一つです。
しかし、精密栄養学の視点で見ていくと、コーヒーには「健康に関して知っておいたほうがよいこと」がいくつかあります。

今回はそのなかでも、コーヒーの成分の中でもっともその影響を体感しやすい「カフェイン」についてです。

この記事では、カフェインの睡眠への影響や、利尿作用とそれに対する水分・ミネラルの補い方などをお伝えしていきます。

カフェインの効き方には個人差がある

「コーヒーを飲んでもすぐ眠れる」という人もいれば、「夕方の一杯で、夜眠れなくなる」という人もいます。

この差は気のせいでも慣れなどでもなく、実は遺伝子の違いがかなりの部分を説明すると考えられています。

カフェインを分解する酵素 CYP1A2

カフェインは主に肝臓にある CYP1A2 という酵素によって分解されます。

体に入ったカフェインの約 95% はこの酵素が処理しているといわれています。

この酵素をつくる CYP1A2 遺伝子には、カフェインの分解速度に関わる場所(rs762551)が 1 か所あり、そこが A か C かの組み合わせで、AA・AC・CC の 3 通りに分かれます。

  • AA: 分解が速い型
  • AC・CC: 分解が遅い型

※ AC は AA と CC の中間とはならず、研究では CC とほぼ同じ値とのこと

遺伝子検査を受けたことがある方は、結果の rs762551 または CYP1A2 という項目を見ると自分の型が分かります。

この遺伝子の型の違いで、カフェインが体内で半分になるまでの時間(半減期)は、短い人で 2 時間、長い人では 12 時間と、人によって大きく変わるのです。

ただし、遺伝子の型だけで全てが決まるわけではありません。

非喫煙者では型による差が明確に現れなかったという報告もあり、喫煙、妊娠、薬、肝臓の状態なども分解の速さを左右します。

分解が遅い人ほど睡眠に影響が出やすい

分解が遅い型の人は、同じ量のカフェインでも体内に長く残るため、夕方の珈琲一杯で夜の睡眠に影響してしまいます。

また「分解の速さ」とは別に、カフェインの「受け止め方」にも遺伝子が関わっています。カフェインが作用するアデノシン受容体の遺伝子 ADORA2A の型によって、カフェインで眠りが浅くなりやすい人とそうでない人がいることが分かっています。

寝つきが悪くなるだけでなく、眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりと、全体的な睡眠の質に影響します。

最後の一杯は何時までにするのがよいのか?

では実際、何時までならコーヒーを飲んでよいのでしょうか。

結論から言えば、まず全員に共通する目安を軸に、そこから遺伝子の型や体感で自分なりに調節していく、というのがおすすめです。

共通の目安は「就寝の約 9 時間前」

24 本の研究をまとめた 2023 年のメタ分析では、カフェインは睡眠時間を平均 45 分短くし、寝つくまでの時間を 9 分延ばし、深い睡眠を減らしていました。

そして、睡眠時間を削らないためには、コーヒー 1 杯(カフェイン約 107mg)は就寝の 8.8 時間前までに飲み終えるのがよい、と結論づけています。

つまり 23 時に寝る場合には、最後の一杯は 14 時頃までが目安になります。

分解が速い遺伝子型の人でも「就寝 6 時間前」以降は注意

分解が速い遺伝子型といえど、いつ飲んでも睡眠に影響がないわけではありません。

カフェイン 400mg(コーヒー 3〜4 杯分)を就寝の 6 時間前に摂った実験では、本人は自覚していなくても睡眠時間が 1 時間以上短くなっていました。

つまり、分解が速い遺伝子型の人でも、「就寝の 6 時間前まで」と考えておくのが安心です。23 時に寝る場合には 17 時までです。

分解が遅い遺伝子型の人は「より早く、少なく」する必要がある

分解が遅い型の人向けに「何時まで」と数字で示した研究は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。

ただ、半減期が長い人ではカフェインが抜けるまでの時間がそのぶん延びるため、共通の目安よりも早い時間、たとえば午前中〜 13時前までに切り上げるか、杯数を減らすのが推奨されます。

欧州食品安全機関(EFSA)は、カフェイン 100mg(コーヒー 1 杯程度)でさえ、就寝前に近い時間に摂ると睡眠に影響しうるとしています。

遺伝子型が分からない人は 14 時頃を目安に

とはいっても、遺伝子検査を受けたことがある人のほうが少ないはずですよね。

自分の型が分からない場合は、まず共通の目安である14 時頃(就寝 9 時間前)を最後の一杯にして、それ以降はカフェインを控える、というのがおすすめです。

年齢が上がるほどカフェインの影響を受けやすくなるという報告もあるため、以前より寝つきが気になるようになった方も、まずはこの時間から試してみてください。

睡眠などの体感で調整していく

結局のところ、遺伝子が分かっている人でも、分かっていない人でも、最後に飲む時間を日によって変えて、睡眠への影響を自分で確かめることが大切です。

たとえば 1 週目は 16 時まで、2 週目は 14 時まで、3 週目は 12 時までと最後の一杯の時間を少しずつ変えてみて、寝つき、夜中に目が覚めた回数、朝の目覚めのよさなどを意識的に体感してみます。

数週間続けると、「この時間を過ぎると眠りの質が浅い気がするな」という自分の境目が見えてくるはずです。

遺伝子の型はあくまで傾向です。

最後は自分の体感を基準にするのが、一番確かな方法です。

カフェインの利尿作用について

カフェインの影響は睡眠だけではありません。

もう一つ知っておきたいのが、利尿作用です。

「コーヒーで脱水」は本当なのか?

以前の記事で、カフェインを多く含むコーヒーやお茶は利尿作用があるため、摂りすぎると水分が排出されてしまう、とお伝えしました。

十分な水分摂れていますか?水分不足の身体への影響と対策
最近、なんとなく疲れやすい… 午後になると頭がぼんやりする… その原因、実は“水分不足”にあるかもしれません。 人の体の半分以上は水分でできており、血液の流れ、体温調節、老廃物の排出、栄養の運搬など、あらゆる身体機能が水分で支えられているのです。 今日は日々の健康を支えるうえで欠かせない “水” についてお伝えしていきます。 水分不足で体内でまず起きること 人間の体は日々水分を補給し身体機能を維持しています。 この機能を維持するために必要な水分が補給されない状態が続くと次のような影響が起きます。 血液の変化 体内の水分量が減ると血漿(血液の液体部分)が減少し、血液が濃く・粘度が高くなり、ドロドロとした状態になります。これにより血液が流れにくくなり、全身の細胞に酸素や栄養が行き渡りにくくなります。 体温調節の乱れ 水分は汗や蒸発によって体温を一定に保つ役割を担っています。水分が不足すると、この汗や蒸発によって排出される水分が不足し、熱を逃がしにくくなるため、体温が上昇しやすくなります。 電解質バランスの変化 水分が不足すると血中のナトリウム濃度が相対的に高

今回あらためて研究を確認したところ、もう少し正確に言う必要がありました。

カフェインの利尿作用がはっきり出るのは、一度に 250〜300mg 以上(コーヒー 2〜3 杯分)をまとめて摂ったときで、しかも普段からコーヒーを飲んでいる人では、適量であれば水分バランスに影響しない、ということが研究を調べて分かりました。

実際、普段から 1 日 3〜6 杯飲んでいる男性 50 人に、1 日 4 杯のコーヒーまたは同量の水を 3 日間飲んでもらった実験では、体の総水分量にも尿量にも差はありませんでした。

つまり、利尿作用には慣れがある、ということです。

とはいえ、普段あまり飲まない人が一度にたくさん飲んだときや、そもそも飲む量が多いときには、一時的に尿が増える(=利尿作用がある)のも事実です。

とはいえ「同量以上の水」を飲むことを推奨

研究を踏まえるとこのような結果ですが、私はコーヒーやお茶を飲んだら、必ず同量もしくはそれ以上の水を飲むようにしています。

理由は後述するミネラルを排出する影響があるためです。

ミネラル排出も加味すれば、コーヒーを水分補給とは考えず、別で水分を摂取する習慣をセットにしておくほうが、結果的に水分・ミネラル摂取は安定します。

ちなみに 1 日の水分の目安は、EFSA の基準では食事に含まれる水分も合わせて女性 2.0L、男性 2.5Lとされています 。

食事のスープや汁物も水分として考えてよいので、飲み物から摂るのは 1.5L 程度をまずは目安にすると無理なく続けやすいはずです。

コーヒーを飲んだかどうかにかかわらず、一日の中で十分な水分摂取を心がけましょう。

水と一緒にミネラルも出ていく

尿と一緒に失われるのは水だけではありません。

カフェインを摂ると、その後 3 時間ほどは尿に排出されるカルシウム、マグネシウム、ナトリウムが増えることが分かっています。

しかも利尿作用と違って、この作用には飲み続けても慣れが生じません。

どうして排出が増えるかといえば、腎臓でのカルシウムとマグネシウムを再吸収する力が一時的に落ちてしまうことが原因です。

朝にカフェインを摂った実験では、夜間に腎臓が取り戻そうとしても追いつかず、1 日あたりカルシウム約 13mg、マグネシウム約 4mg が余分に失われていました。

日頃から十分に摂取できている人なら気にするほどの量ではありませんが、慢性的にミネラル摂取が足りていない人では影響があると考えてよさそうです。

以前の記事でもお伝えしたとおり、現代の食生活はそもそもミネラルが不足しやすい状況にあるので、詳しくはミネラルについての記事を参照ください。

現代人の多くはミネラル不足?不足しやすい現代の背景と効果的な補給方法
ミネラルは人間にとって必要な五大栄養素の一つ。 まさに日常的に摂取することが欠かせない栄養素です。 ミネラルが不足すると、代謝、神経伝達、他の栄養素の吸収など身体中のあらゆる側面に悪影響を及ぼします。 しかし現代の食生活は、実はミネラル不足になりやすい状況にあります。 今回は、現代のミネラル不足になりやすい背景と効果的な補給方法についてお伝えします。 現代の食事はミネラルが減っている 精製された食品が主食 白米や精製小麦のパンなどが一般的な主食となっている現代。 これらの精製された穀物は、その精製過程でミネラルを多く含む外皮や胚芽が取り除かれてしまっています。 そのためカロリー源にはなるもののミネラルなどの栄養素が不足した「カロリー過多・栄養不足」の状態になりやすいのです。 加工食品の摂取 またコンビニ食やファストフード、調理済み食品の摂取が増加している背景も関連しています。 ミネラルは調理や保存の過程で失われやすく、加工度が高まるほど減少してしまいます。つまり加工度の高い食品であるほどミネラルの含有量が低いと考えてよいでしょう。 さらにこうした超加工食品

ミネラルの補い方は 2 段階

対策はシンプルで、食事から摂ることと、サプリメントで補うことの 2 段階です。

まずは食事については、マグネシウムであれば海藻類、豆類、ナッツ類、緑色野菜に多く含まれています。

ただミネラルが減りつつある現代の食生活では、全てを食事で補うのは難しいのが正直なところです。

そこで私が日常的に使っているのが、以前の記事でも紹介した ConcenTrace のトレースミネラルドロップです。

https://jp.iherb.com/pr/trace-concentrace-trace-mineral-drops-4-fl-oz-118-ml/22266?rcode=IZT9882

私は普段 500mL のペットボトルの飲料水に 7 滴ほど加えて持ち歩いています。

この水を毎日 6 本飲むことで、トレースミネラルドロップの推奨量 40 滴を満たしつつ、一日の水分摂取量が 3 L に達するようにしています。

常に携行する飲料水をこのミネラル入りの水にしておけば、水分とミネラルを一度に補えるので、コーヒー好きやコーヒーをお仕事にされている方にはとくにおすすめしたいです。

これからもコーヒーを健康的に楽しむために

今回ご紹介したように、まずカフェインについては、効き方が人によって異なります。

自分の遺伝子や体感を踏まえながら、睡眠に悪影響を及ぼさない範囲で楽しめる、自分だけのコーヒータイムを探してみましょう。

また、カフェインの利尿作用によってミネラルの排出は少しずつ積み重なります。

現代はそもそも食事からのミネラル補給も難しいため、水分とミネラルの摂取をセットで心がけましょう。

しかし、もちろんこれらはコーヒーをやめる理由にはなりません。

コーヒーが届けてくれる味覚体験や時間には、むしろそれ自体が与えてくれる幸福感があります。

この記事でお伝えしたカフェインとその向き合い方を、ぜひ次の一杯から意識して、これからも健康的にコーヒーを楽しんでみてください。


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主な参考文献

カフェインの効き方の個人差

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最後の一杯の時刻と睡眠

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利尿作用と水分

ミネラルの排出

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